ご覧いただきありがとうございます。芦沢です。
きょうは2021年6月17日から運用開始となった『顕著な大雨に関する情報』についてまとめました。
顕著な大雨に関する情報
新たに始まった『顕著な大雨に関する情報』。
これは、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で降り続いていることを知らせる情報です。
甚大な災害が発生するおそれがあり、ただちに身の安全を確保する必要がある場合に発表されます。
『顕著な大雨に関する情報』が発表されると、気象庁HPの「雨雲の動き」や「今後の雨」で線状降水帯の雨域が赤い楕円で表示されます。
これによって、今どこで線状降水帯が発生しているのかを確認できるんです。
近年、毎年のように発生する豪雨災害。
その多くが線状降水帯によるものだとされています。
線状降水帯とは
線状降水帯とは活発な雨雲が線状に並び、数時間にわたって同じ場所に停滞する雨の領域のことです。
線状降水帯がかかると甚大な災害の発生する確率が急激に高まるため、防災上最も気を付けなければならない現象のひとつになります。
最近の線状降水帯による災害は
2020年熊本豪雨 2018年西日本豪雨などです。
線状の降水帯が発生するという現象は昔から知られていましたが、線状降水帯という言葉が頻繁に使われるようになったのは2014年の広島豪雨からです。
以来、豪雨災害が発生するたびにテレビで線状降水帯というワードが使われ、今はある程度社会に浸透してきたように感じます。
背景は災害発生への危機感を持ってもらうため
『顕著な大雨に関する情報』を運用開始した背景として、災害発生への危機感をより高めてもらいたいという思いがあります。
線状降水帯というキーワードを用いることで、皆さんに緊迫感を伝えることが目的です。
そして、この『顕著な大雨に関する情報』が発表されるのは警戒レベル4相当以上のときになります。
警戒レベル4は自治体からは避難指示が出ているような極めて危険な状況のときです。
そのため、この情報が発表されたときにはすでに避難を完了しているのが望ましいと言えそうです。
情報の注意点
この情報はこれから線状降水帯が発生するという”予測”ではなく、
すでに線状降水帯による非常に激しい雨が降り続いているという”実況”であるという点に注意が必要です。
発表された時点で、その地域のどこかしらで線状降水帯が発生していることを表します。
ただちに身の安全を守る行動をとらなければならないことに注意して下さい。
なぜ、予測ではなく実況なのか。
これから線状降水帯が発生するという”予測”の情報であれば、災害に備えるための時間(リードタイム)を稼ぐことができます。
では、どうして予測ではないのでしょうか。
それは、現在の予報技術では線状降水帯を予測することが困難だからです。
線状降水帯は積乱雲が列になった集合体なのですが、現時点ではそのひとつひとつの積乱雲の発生を正確に予想することができないんです。
雨が降ることは分かっても、それが線状になり停滞することまではうまく表現ができず、ぼやけてしまいます。
線状降水帯が予測できるようになるのは早くても2030年ごろで、予想できるといってもまだ半日前と言われています。
それだけ線状降水帯の予測は難しく、大きな課題なのです。
キキクルを活用しよう
線状降水帯などで大雨となっているときは、気象庁が提供しているキキクルをご活用ください。
キキクルは災害の危険度を5段階の色に分けて地図上に色付けして提供しています。
キキクルには、「洪水キキクル」「土砂キキクル」「浸水キキクル」の3つがあります。
いずれも大雨時に役立つツールになります。
まだ確認していない方はぜひ一度見てみてくださいね。
それじゃ!
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